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青色の空に神様がきた

Twitterの140字では書ききれないあれこれを。ブログに述べられている考察は、あくまで筆者のブログ執筆当時の考えであり、当然ながら日々勉強したり議論したりする中で考えが変わることもあります。また、このブログはいち大学院生の個人ブログであり、いかなる機関の公的見解を示すものでもありません。

自殺したいと思っている君へ

 連日心が暗くなるニュースが続きますね。特に相模原の事件は、多くの人にとって衝撃だったと思います。

 そしてまったく個人的なことですが、先日わたしにすごく良くしてくれていた先輩が自殺しました。理由などはプライバシーがあるので伏せますが、それもわたしにとってはとても衝撃でした。日本は交通事故で死ぬ人よりも自殺で死ぬ人が多い…等、統計では知っていても、これだけ近距離にいて、顔も知っている、昨日まで会話していたような知り合いが自殺するのはわたしには初めての経験でした。そして、誰かが自殺するというのはこんなにもDepressingなことなのかと思いました。

 わたし自身、「死にたい」と思うことはよくあります。実際に口に出してその気持ちを表現することもあります。夜寝る前に、このまま眠りについて永遠に目が覚めなければいいのにと何度思ったかわかりません。

 でも最近思うことは、「死にたい」の根底にある「生きづらさ」は、ある程度まで解消可能だということです。もちろん、「死にたい」気持ちの渦中にいる人は、まわりがまったく見えません。まわりが見えない中で絶望して死んでゆくのです。このエントリは、そんな「まわりがまったく見えない」「ただただ死にたい」人に、ちょっとでも「生きづらさ」を解消するヒントをつかんでもらえれば、という意図で書いています。

 

死にたいと思ったときにすること①:

 自分がネオリベの論理を知らず知らずの内に内面化していないか自分に問いかけてみよう。

 

 難しい言葉がいくつか出てきましたね。わかるまで調べましょう(笑)

 ネオリベ、とはネオ・リベラリズムのことです。日本語では新自由主義と言います。色々な定義の仕方がありますが、要するに、「市場原理こそ最強である」とする考え方のことです。政府の介入を極限まで排除し、マーケットでの自由な競争を保証することで、より良いものが出てくる。この世界に不必要なものは競争原理に従って自然淘汰される。そしてわたしたちに本当に必要なものや、人々により強く求められるものだけが残ってゆく――そうして世界は良くなる、とする考え方のことです。一方で、ネオ・リベラリズム成果主義や拝金主義に偏る、という側面もあります。競争では成果を出したものこそが勝者だし、より多くお金を得ることが正義だからです。

 次に「内面化」という言葉を解説します。英語ではinternalizationと言います。「内在化」と訳されることもあります。元々外にあった考え方を、自分の中に取り入れて、自分の考えのようにしてしまうことです。

 では、「自分がネオリベの論理を知らず知らずの内に内面化していないか自分に問いかけてみよう」という問いに戻ってみましょう。何の能力もない自分なんて死んだほうがいい、と思っていませんか?自分は生きていても他人の足手まといになるだけだから、他人に迷惑をかけるだけだから、ここにいる価値がない――そんなふうに考えていませんか?

 でも、その「価値」って、新自由主義によって規定された「価値」――より強く、よりお金を生み出し、より多くの人に必要とされているものだけが残ればいい――じゃないですか?

 少し勉強すればわかることですが、新自由主義というのは、批判も強いです。新自由主義的な考え方は、社会的弱者を排除していくからです。(今のシステムの中で)より強く、より多くお金を生み出すものだけが残ればいいのなら、相模原の障がい者たちは、殺されて良かったということになってしまいます。殺された相模原の障がい者たちがかわいそうだと思うなら、その理論はあなたにも適用できるはずです。あなたも生きてて良いのです。

 まず、自分がネオリベの論理を内面化していることを自覚する。その上で、ネオリベに対してどんな批判が出ているかよく調べてみる。それだけでも、どうして自分がこんなに「居場所のなさ」「生きづらさ」を感じているか、理解できるはずです。

 

死にたいと思ったときにすること②:

 心理学の本を読んで勉強をしよう。

 

 これは、わたしが実際にやってみて非常に有効だった方法です。

 死にたい、と口にすると、多くの人は精神科や心療内科の受診を勧めてくるでしょう。実際、わたしも何年間も精神科にお世話になっています。

 でも、率直に言って、今の日本の精神医療はとても悲惨な状況だと思います。家から通える範囲の精神科に行って、正しい診断をもらえる確率がとても低い。ただ薬だけ出せばよいと思っている精神科医も少なくない(もちろん真面目に仕事をしている人もいます)。カウンセリングも同様で、ただのカウンセラーとの「雑談」のようなものを「カウンセリング」と呼んでいるクリニックも少なくない。精神科を変えたりセカンドオピニオンを求めたりすることはもちろんできますが、精神科を変え自分にあった医師を探すというのは、わたし自身も経験したのでわかりますが、とてつもなく労力のいることです。多くの人は自分にあった医師を見つける前に疲れ果ててしまうと思う。

 精神科に行くな、と言っているわけではありません。でも、現状の日本の精神科に多くは期待できないと思います。

 そこでわたしが代わりにオススメすることは、本屋さんでとにかく心理学や精神医療の本を買って読むことです。病気の診断はどのような基準で行われていて、世の中にはどんな治療法があるのか、とにかく知ることです。

 東京にお住まいの方には、神保町の三省堂本店の5階の心理学コーナーが断然オススメです。まず行って、気になるものを手に取ってみましょう。

 東京に行くのが難しいかたは、家から行ける範囲のターミナル駅の、なるべく大きな本屋さんで探してみてください。とにかく選択肢が多い方が良いです。心理学の本だけで、棚が2つ以上あれば理想的です。

 読んでいけばわかりますが、エビデンス(科学的根拠)のある心理療法の多くは、それほど難しいものではありません。もちろん理想は精神科医臨床心理士の指導のもとでそれを実践することだけれども、エッセンスを理解して自分のできる範囲で自己流で実践してみるというのも、できない相談ではありません。世の中には「生きづらさ」を抱えてる人がたくさんいて、それに対処するための「自分助け」マニュアルが山ほどあります。自分に合った「自分助け」の方法を探して、是非実践してみてください。

 ここではいちおう、おそらくいちばん有名な心理療法の自習帳を挙げておきます。

こころが晴れるノート―うつと不安の認知療法自習帳

こころが晴れるノート―うつと不安の認知療法自習帳

 

  

 自殺したいと思ったときに、やってほしいことは、今言ったふたつのことだけです。ネオリベの論理を疑ってみる、そして、自分で自分を助けられるようになる。

 問題がなにも解決してないじゃないか――と反論するかたもいるでしょう。自殺したいと思ったきっかけが何かの挫折――例えば失恋したとか、就活で失敗したからとかだったら、これらを実践したところで恋人は戻って来ないし、内定がもらえるわけでもない。

 でも、とにかく無限に自殺を考えるループからは抜け出せると思うのです。そして、ある程度自分のことを肯定できるようになったら、次のアクションを起こす元気が出てくるはずです。逆に、無限に自殺を考えるループにハマったままなら、そこから動き出すことはできません。だから、とにかくそのモードを抜け出してほしいのです。問題解決は、そのあとです。

 

 最後に、心理学の本ではないけれど、わたしが「生きづらさ」を解消するのにとても役立った本を載せておきます。

孤独と不安のレッスン (だいわ文庫)

孤独と不安のレッスン (だいわ文庫)

 

  

「死にたい」と考えることは誰しもあります。でも、本当に死んでしまう前に、すこしだけ「生きづらさ」を解消することを試してみませんか?

 

世間が面白くない時は勉强に限る。失業の救濟はどうするか知らないが個人の救濟は勉强だ。— 関口存男 (@sondern_bot) 2016年6月5日

 

 そう、個人の救済は「勉強」です。