青色の空に神様がきた

Twitterの140字では書ききれないあれこれを。ブログに述べられている考察は、あくまで筆者のブログ執筆当時の考えであり、当然ながら日々勉強したり議論したりする中で考えが変わることもあります。また、このブログはいち大学院生の個人ブログであり、いかなる機関の公的見解を示すものでもありません。

運命を司る人智を超えた存在って居ると思う

 まいどブログのタイトルをつけるのが下手で申し訳ありません。怪しい宗教の勧誘ではありません。

 

 少し前だけれど、永田カビさん作の『寂しすぎてレズ風俗に行きましたレポ』と『ひとり交換日記』を読んだ。永田カビさん自身の経験をもとにしたエッセイ漫画で、誤解を恐れずに言うならば、前者は毒親育ちのメンヘラがレズ風俗に行くまでの経緯を書いた漫画で、後者は毒親育ちのメンヘラがいかにして自立したかを書いた漫画だ。

 

さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ

さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ

 

 

一人交換日記 (ビッグコミックススペシャル)

一人交換日記 (ビッグコミックススペシャル)

 

  わたしは漫画家ではないけれど、色々と共感することが多く、Kindleで2冊とも購入して3回も読んでしまった。

 

 さて、ここからが本題だ。

 ツイッターでこの漫画の感想をながめていたけれど、賛否両論で、「わかる」という意見もあれば「作者クズすぎるだろ」というものもあった(ちなみにわたしは圧倒的に前者だ)。そして、ツイッターで見つけたこの漫画の感想の中で、心にチクリと刺さるものがひとつあった。それは(元ツイートを探し出せなくて残念なのだが、削除されてしまったのかもしれない)要約すると「親と確執があるのに実家に住み続けなきゃいけない人は大変だよな。自分が(親のせいで)メンタル病んでるのわかってるのに、どうして食えない職業(=マンガ家)目指すかな?」という内容のツイートだった。

 永田カビさんがマンガ家を目指すようになった経緯は本編中に出てくる。永田カビさんは元からマンガを描くのは好きだったらしいが、あまりにも親に「正社員になれ」と圧力をかけられるので、ついに正社員になるべく就活を始める。しかし、面接のたびに「あなたが本当にやりたいことはなんですか?」と聞かれ、そのたびに正直に「本当にやりたいことは、たぶんマンガです」と答えてしまう。あげく、面接に行ったパン屋さんで(永田カビさんはパン屋で長くバイトをしていたので、就活のときもパン屋で正社員を目指した)、面接官のお兄さんに「さっきまで、なんとなく来ちゃったけどどうしようという感じだったけど、マンガの話してるときだけは目がキラキラしてたよ。マンガがんばりなよ!」と言われてしまう。

 

 この、「社会的に見たら決してよい方向ではないにしても、ある特定の仕事や生き方にどうしようもなく引き寄せられてしまう」感覚がとてもわかるのだ。

 

 ここからはわたしの話をする。わたしは5,6年くらい前からずっと「研究者になりたい」と思っていた。だけど、何年か社会人経験をしてから大学に戻る人はたくさんいるので、わたしも一度は就職して、それで何年か経ったら大学に戻って研究者になろう、と思っていた。

 だから、大学3年の夏頃には普通に就活をしていた。そして、大学3年の夏休みに、ある会社で(中)長期インターンをした。そこでわたしは実力を認められ、具体的な役職名は会社がバレるので伏せるけれど、仕事を教えてもらった直属の上司に「ウチの新入社員より仕事ができる」と褒められ、仕事のあとの飲み会ではポジションで言ったら副社長くらいの人に「君はウチに来なさい」と言われ、その副社長が人事のひとに直接「この子はウチに来るから」と耳打ちしているところもこの目で見て、別の社員さんには「本音を言えば今すぐウチで働いて欲しいけど、会社を決めるって一生のことだから、このインターンを恩義に感じることないからね」という気づかいの言葉までもらった。

 

 そこまで言われた会社を、3次面接で落ちた。

 

 長期インターンしたその会社に受かるだろうけど、万に一つ落ちるってこともあるかもしれないから、いちおう人並みに就活しておこう、くらいの気持ちでいた。だけど、就活していたときのわたしはなぜかボロボロだった。肌は荒れ放題、気持ちは常にイライラして、最後には生理が止まった。

 

 そして、その会社からの不採用通知を受け取った次の日に、HSK6級(中国語版TOEFLみたいなヤツのいちばん難しい級だ)の不合格通知が届いた。

 

 わたしは元々HSKの6級を持っていた。だけど、それは外大の編入試験を受けるために短大の2年のときに取得したものだったので、HSK6級の有効期限(2年)があと少しで切れてしまう、と思って再度受験した。再度受験したら落ちた。

 

 いきなりこんなことを言うと「頭が変になった」と思われるかもしれないが(実際変なのかも知れないが)、わたしは神様っていると思う。そしてそれは別に「神様」じゃなくて「運命を司る人智を超えた存在」という呼び名でもいい。わたしには「神様」がしっくりくるので、ひとまず「神様」と呼んでおく。

 

 長期インターンした会社に落ちたとき、もう就活は辞めて大学院に行こうと思った。けれど同時に、今している中国(香港)の地域社会研究を続けることにも強い違和感があった。自分はそんなに中国語が好きではないし、中国研究で修論が書けるとも思わなかった。その話は、「大学院合格によせて」にもう少し詳しく書いたので、そちらへどうぞ。

koyukisdec20.hatenablog.jp

 

 幾重にも重なる体調不良と、自信のあった会社の不採用通知は、「君が進む道はそっちではないよ」という神様からのメッセージに思えた。そして、HSK6級の不合格は、「君が進むべき道は中国研究ではないよ」というメッセージに思えた。

 そうして、大学院には行きたい、だけど中国研究は続けたくないから外大の大学院には行けない、さてどうしよう、というわたしの「真にやりたいこと探し」の旅が始まる。数ある「中国研究ではない分野」の中から、なぜ教育社会学を選んだかというのは、長い話になるので、また今度。

 

 ともかく、永田カビさんのマンガの話に戻ると、永田カビさんだって、経済力がないから実家に住み続けないといけない自分に、そして独立したいなら正社員にならなきゃいけないのに何故かそれができない自分に、誰よりも自分自身がいちばん苛立ちを覚えていたと思うのだ。だけど、永田カビさんはどうしようもなく「マンガ家」という仕事に引き寄せられてしまって、それはほとんど「どうしようもない引力」と言ってもよいようなものだと思う。

 そして、わたしも同じように「研究者」という仕事に、あるいは「大学院」というものに、どうしようもなく引き寄せられていると感じるのだ。ちなみに大学院を受けると決めてから肌荒れは嘘みたいに改善したし、生理も再開した。

 

 インターンで実力を認めてもらえた会社に落ちたのは、わたしが気づかなかっただけで、面接でなにか言ってはいけないことを言ったのかもしれない。HSK6級に落ちたのは単なる勉強不足で、肌荒れも生理が止まったのも単に体調管理がなってなかっただけかもしれない。

 でも少なくとも、わたしはそうして導かれた今の進路に心から満足しているので、ひとまず神様はいることにしておこうと思う。